JAWS FESTA Kansai 2013 アンカンファレンス振返り
前回のブログで書きましたが、JAWS FESTA Kansai 2013で「クラウド時代のメール運用方法」と題してアンカンアレンスのモデレータをつとめてきました。
アンカンファレンスとは
こちらにあります通り、トピックは事前に決めず、その場で集まった人々が自分の話したい内容を話し、参加者全員で作り上げるカンファレンスです。
進行や集客のこともあるのでJAWS FESTAではあらかじめモデレータと議題を決めて行いました。ですので実際にはアンカンファレンスというよりは、グループディスカッションやBOF (Birds Of a Feather)というのが正しいようです。(by 法林さん)
JAWS FESTAは参加型のイベントにしたいという思いがあったため、アンカンファレンスを目玉コンテンツとしていました。
当日の流れ
まずはモデレータが自分の担当するトピックのアピールをして、参加者は気に入ったモデレータの所にいってアンカンファレンススタート!という形でした。
私は以下のスライドを使用しました。その他にもたくさん面白そうなトピックありましたし、メールについて話を掘り下げるというのはやはりニッチだよなぁと考えていたのでお客さんが集まるかどうか非常に不安でした。
が、蓋をあけると5名の方が参加してくださり、ディスカッションするにはちょうど良い感じでした。
アピールが上手だったんでしょう笑
アンカンファレンス本番
まずは簡単に自己紹介。その後話したいことをそれぞれ付箋に書いてもらいました。
その後付箋にあがった内容をカテゴライズし、それについて順番にディスカッションしました。
大きく分けると、
- どういう風にメールを使っているか(使用目的、月間の通数など)
- メールを正しく届けるための取り組みについて
- メールの今後
- テクニカルな内容
という感じでした。
どういう風にメールを使っているか
まずは、参加者の方々がどういう用途でメールを利用しているかお話しして頂きました。
月間数万通〜数億通という範囲で、運用方法もオンプレミスで自前のメールサーバで運用している方から、ASPを利用されている方まで、またSIでクラウドメールサービスを利用している方と様々でした。
用途としては、メルマガのような大量配信系の方がほとんどでしたね。
SendGridの例にはなりますが、メールの利用用途としては以下の2通りがあることをご説明させて頂きました。
・トランザクションメール
Webサービスのサインアップ時の確認メールや、ECサイトの購入確認など、何らかのイベントがトリガーになりシステムから自動で送信されるメール
・マーケティングメール
メールマガジンやセミナーのお知らせなど、受信者のリストに一斉に配信する大量配信系
「メール配信」というキーワードで検索したときに引っかかってくるサービスは大体後者のマーケティングメール向けのサービスで、AmazonSESやSendGrid、Mandrillなどクラウド系のサービスは元々トランザクションメールがメインの用途になっています。
メールを正しく届けるための取組みについて
普段当たり前のように使用しているメールですが、上記スライドにある通り、迷惑メールBOXに入ってしまったり、そもそもなかったことになってしまっているメールもあり、正しく宛先に届け続けるには地道で面倒な作業が必要になります。
ということで正しく届けるには何をしなければならないのかというディスカッションを次に行いました。
各ISPがスパムメール対策を色々とやっているので、それをちゃんと通り抜けるための対策が必要になります。
「1番大切なのはレピュテーションを下げないこと。』
レピュテーションとは、直訳で「評判」という意味になります。
クレジットカードで信用の無い人にいきなり100万200万といった決済が出来ないのと同様で、Eメールも信用の無い送信元からのメールは受取らないようにしているISPが多いです。
RETURN PATHやCISCO SENDER BASEといった各ISPのレピュテーションを提供しているサービスを利用するケースが多いようです。
立てたばかりのメールサーバーから、いきなり数万通のメールを送っても拒否されてしまいます。受取り手からすると「誰だよこいつ!」となるわけですね。
なので、正当なメールを少量送ってそれをだんだん増やしていって、信頼しても大丈夫な送信元だと示す必要があります。使っている分には気付きませんが、メール配信サービスでは大抵行われている作業です。
送信上限があって、だんだん緩和されていくものもありますが目的は同じことです。
届かなかったメール(バウンスメール)に送り続けたりするとどんどんレピュテーションは下がっていきます。
その他には、SPFやDKIMのように、送信元を偽装していないか認証するための技術を利用することがあります。Gmailを利用していて以下のように〜経由と表示されている場合は、こちらを利用していない、もしくは正しく設定できていないということが分かります。
オンプレミスでメールインフラを運営する場合、上記のメンテナンスを地道にし続ける必要がある訳です。それなりの知見と運用し続けていく覚悟が必要になります。
単純にメールのインフラだけを見ていればよい訳ではなく、個別にISPと話をしたり、ブラックリストやレピュテーションを管理している第三者とのやりとりが必要になることもあります。ロビー活動のようなことも必要なんですね。
ほら、誰かに任せたく(特にクラウド使いたく)なったでしょう笑
メールの今後
ChatWorkやChatter,Yammerといったメッセージング、チャットツールを利用している企業が増えているとは思います。それは社内もしくは社外とのコミュニケーションに利用している訳で、Webサービスやシステムとのやりとりや、マーケティングのためにはまだまだメールが使用されています。
そういったことからも、メールは当分無くなることはないでしょうというのが、参加者で一致した見解でした。
そもそもSMTPが悪いんだよ!偽装できないようなプロトコルが普及すればいいんだ!という意見も出て、これには皆さんも同意してましたでした笑
テクニカルな内容
文字コードの話や、RFC規約違反のメールアドレス、HTMLメールについてなど、技術的な内容もトピックとしてあがっていましたが、全員がエンジニアだった訳でもないので今回は省略しました。
そういった濃い話もいつかやってみたいですね。
まとまってないまとめ
まだまだ色んな話をしましたが、ここでまとめきれないのでこんな感じで。
参加者の感想として、
- 普段することのないメールについての濃い議論ができ非常に興味深かった
- メールに関しての最新の事情が分かって面白かった
- 送信するメールを企画する側からは分からない運用側の話がきけてよかった
など好意的な意見を頂けました。
やってよかったー(泣)
参加者の方々のためになったのもうれしいですし、何より私も大変勉強になりました。
今後も是非共同様のイベントに参加していきたいですね。
最後に一枚こんな雰囲気でしたよ、という写真を。
ではでは長くなってしまいましたがこんなところで。