THE MODEL -SaaS時代の成長戦略- に参加してきた #themodel

前回ブログを書いたのがいつか分からないくらい久しぶりですが、昨日参加したイベントが素晴らしかったのでレポートを書いてみます。

参加したのは『THE MODEL -SaaS時代の成長戦略-』。マルケト日本法人を立ち上げられた元オラクル、セールスフォースの福田康隆さんが基調講演をされるということで、イベント告知を見つけてすぐ申し込みました。福田さんの著書『The Model -マーケティングインサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス-』の出版記念も兼ねているようでした。

THE MODELとは

THE MODELは、マーケティングインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの分業体制を体系化したもので最近特にニュースや特集記事等で目にすることが増えてきたような気がします。
「ヤス、何で日本人は生産管理については緻密なプロセス管理をするのに、営業にはそれがないんだ」と言われたことをきっかけに作られたものだそうで、TOCで有名なザ・ゴールの考え方を営業プロセスに移植したようなイメージです。詳しくは各所で解説されているので割愛しますが、これを初めて見たとき(確か2017年のSaaS Conference Tokyo)はなるほどなぁ、感動したのを覚えています。

f:id:nakansuke:20170914162809j:plain なぜセールスフォース・ドットコムは成長を続けられるのかから引用

今やってること、みんながやってることを疑うこと

今回の講演はTHE MODELの詳細の説明や、書籍の紹介がメインになるかと思っていたのですが良い意味で裏切られました。福田さんの講演で一貫していたのが、みんなが言っているからってそれを盲信するのではなく、自分たちの状況に合うようにしっかり落とし込んで考えることが必要であるというところだったように思います。

B2B SaaSと一言でいろんなサービスがまとめられていますけど、セグメントもチャネルも、ビジネスステージも違うしこれってほんとにひとまとめで議論していいんでしょうか」ということから始まり、

「『B2B SaaSやってるんで、これからカスタマーサクセスを立ち上げます、インサイドセールス部隊を作ります』って最近よく聞くけど、本当にそれが自分たちにとって最適なのか考える必要がある」

SaaSの40%ルールやT2D3とかすごく耳にするけど、これはあくまでもVCや投資家の立場から見た指標であって、当事者たちは自分たちのビジネスモデルに合わせ適切な指標で管理する必要がある」

「KPIで管理すればOK、 ビジネスが方程式で回ると勘違いしている人が最近多い。スプレッドシート埋めれば終わりではない」

と、何でも型にはめようとしたり、流行っているから他の人がやっているからという理由で真似をしようとしたりするのは危険である、ということを一貫して述べられていました。
※あくまで私の記憶を元に文字で起こしているので、実際におっしゃっていたメッセージとは異なる可能性があります。

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THE MODELに関しても元々そのようなフレームワークがあったものをセールスフォースに適用したら大成功した、というわけではなく、その当時のセールスフォースを分析して、どう改善していくことが可能か、生産管理の理論等を参考にしながら福田さんが作り上げられたもので、それが全てのビジネスで有効であるとは限らないということでした。

これには凄く同意で、自分も5年前からSendGridというSaaSを日本市場に提供することに注力してきましたが、各フェーズで何が必要かを考え抜いて取り組んだおかげで成長を続けることができているように思います。こうやった方が良いのでは、他ではこうやっている、というのに簡単に流されなかったのがよかったかと。

重要なのは何を作るかではなく、それまでのプロセスで何を学ぶかということ

登壇中Appleのデザイン責任者であるJony Iveのメッセージが紹介されていました。

I’ve always thought there are a number of things that you have achieved at the end of a project. There’s the object, the actual product itself, and then there’s all that you learned. What you learned is as tangible as the product itself, but much more valuable because that’s your future. You can see where that goes and demand more of yourself, being so unreasonable in what you expect of yourself and what we can expect of each other, that it yields these even more amazing results, not just in the product but in what you’ve learned.”

いろんなことを成し遂げたり、作ったりすると思うけど、重要なのは作ったもの自体ではなく、作までのプロセスで学んだことである。といったニュアンスでしょうか。

今回の福田さんからのメッセージはまさにこれで、お話しされている内容もTHE MODELを創り、マルケトを日本で成功させるまでに得られたこと、学んだことを惜しげも無く披露されており、刺さる話が多すぎました。

結局最後は人

THE MODELのようにきっちりと体系立ててプロセスを管理していくことを、強く薦められるのかと思いきやそうではなく、凄く人間味があることを仰っていたのも印象的でした。どんなにプロセスを突き詰めていったところで、結局事業を回すのは人なんだから、人とその感情が重要であると。

会場からの質問で「インサイドセールスを根付かせるために外してはならないものはなんでしょう?」というものがあったんですが、福田さんからの回答は以下のようなものでした。

  • マネージャはチームメイトに厳しく
  • 営業にフォーカスがあたりがちだが、成果が出た時にインサイドセールスにも賞賛をすること(これを完璧にやっていたのがSFDCのマークベニオフ)
  • マネージャーはいい仕事をしているインサイドセールスと、適当な仕事をしているインサイドセールスを注意深く見分けること。結果の数字だけを見てはだめ
  • 結局はコミュニケーションが重要


ということで大いに刺激を受けたイベントでした。書籍をこれから読み進めていくのが楽しみです。福田さん、運営の方々、ありがとうございました!